自慢のわが家をお披露目するホームパーティーを計画してみませんか。リラックスした雰囲気と心を込めたおもてなしで、日ごろなかなか伝えられない感謝の気持ちも伝えられたらすてきですよね。来客を意識することで、掃除を見落としていた箇所や、日常にも生かせる工夫に気づくこともあります。
自宅で料理教室を主宰し、テーブルコーディネーションディプロマの資格も持つ落合葉子さんに、ホームパーティーのイロハを教えてもらいました。
1回目は、カジュアルとフォーマル、2種類のテーブルコーディネートをご紹介します。それぞれのこだわりと、アレンジのアイデアも伺いました。手持ちの器や雑貨を活かして、おもてなしのテーブルを作ってみましょう。
世界にただ一つの空間と時間を楽しもう
パーティーと言っても、あまり華美だとゲストがリラックスできないかもしれません。自宅ならではの安らぎを感じてもらうという意味でも、飾りすぎないシンプルなおもてなしは好感度が高いですよね。
今回は、親しみやすさと個性が融合したテーブルセッティングを落合さんに考案してもらいました。「大切なのは、テーマとインテリアに合った器選び。ことさらに主張せずとも、ホストのセンスがにじむ部分です」と落合さん。
アイテムは、基本的に手持ちのものを使いましょう。ワインクーラーなど使用頻度の低いものは、ボウルや花器で代用できます。テーブルクロスの代わりに色画用紙をランチョンマットにするのもGOOD。手軽に買える色画用紙も、写真のようにちょっとずらして敷くことで、よそゆき顔に。「ゲストにお子様がおられる場合も、画用紙の上なら汚れを気にせず食べていただけておすすめです」と落合さん。

▲紅白の色画用紙を重ねた手作りランチョンマットで華やかさを演出。器も紅白を意識し、大皿のシルバーと箸の黒漆でモノトーンのアクセントを添えています
ゲスト目線で考えることもポイントです。ホストを務めるなら、自分の「これがしたい」と同じだけ、ゲストの「こうしてほしい」にも目を向けてみましょう。例えば、幼児はスプーン、シニア世代は箸などと、年代によって使い慣れたカトラリーは異なります。「ゲストの好みに寄り添えるのも、ホームパーティーの良さ。お皿も、デザインだけでなく持ちやすさや重さに配慮できたらベストです。ゲストが心おきなく楽しめる環境づくりを心がけましょう」と落合さん。
例えば上の写真のように一人分ずつ盛り付けてから提供すれば、ホストも一緒に食べ始めることができ、ゲストを待たせる心配がありません。また、座席はいわゆる「目上の方はここ」という観点だけではなく、入り口や手洗いへの動線を考えて決めるのも大切です。実際に椅子に座って、視界に入るものや、料理や飲み物に無理なく手が届くかなども確認しておきましょう。
テーブルコーディネート①~フォーマル編~
まずは、夜のディナーを想定したフォーマルなコーディネートから。お世話になった先輩や会社の上司を招いて、ちょっとかしこまったパーティーをするシチュエーションです。華美になりすぎず、色や質感で上質な雰囲気を演出しています。

以下、コーディネートのポイントを落合さんに解説していただきました。
【ディナー皿】
白のディナー皿は、お持ちの方も多いと思います。もしこれからお求めの場合は、直径23~27cmを。使い勝手を考えると、27cmをよりおすすめします。ちょっと大きく感じられるかもしれませんが、上でご紹介したワンプレートにも対応できます。
色は白ですが、白にもいろんな色あいがありますよね。透明感のある白ならスタイリッシュでモダンなイメージ、オフホワイトならカジュアル感や温かみのあるインテリアにマッチします。
今回使ったお皿はフランスの「ジャンルイ・コケ」のもので、レストランなどでもよく使われています。「ノリタケ」「NIKKO」など国内老舗メーカーから「IKEA」や「無印良品」といった手ごろな価格のブランドまで、さまざまな選択肢からライフスタイルにしっくりくるものを選びましょう。食洗器にかけるなら、業務用も丈夫で良いですね。
【グラス・カラトリー・クロス】
「ワイングラス、カトラリーは、オーソドックスなデザインにしてすっきりと。装花やお料理の色を邪魔しないよう意識しました。クロスは白も検討しましたが、お皿を際立たせる濃い色味を選びました。今回はこげ茶ですが、えんじ色や深い緑など、シーズンごとの行事(節句やクリスマスなど)を意識した色も良いと思います。
【ナプキン】
本来なら正式な場合は白で、シンプルな折り方をします(複雑な折り方は、それだけ他人の手に触れるから不衛生といわれます)。今回は、ご自宅でのホームパーティーですから、遊び心と色味を加えるため、ペールグリーンを選びました。お皿の上にナプキンが乗っていることで、おもてなしの雰囲気がぐっと高まりますね。ペーパーナプキンをお使いいただいてもOKです。
【花・キャンドル】
お花は、ナプキンの色とリンクさせたグリーン系のアレンジ。コンポートグラスを花器として使いました。花材は2,000〜3,000円です。とびきりのゴージャス感はないけれど、身の丈にあった、好感を持たれるテーブルフラワーです。花を選ぶときは、香りに気を付けます。カサブランカなど香りの強い花は玄関などに飾りましょう。キャンドルも同じで、アロマキャンドルは避けます。
お花とキャンドルを高い位置に、お料理はテーブルにじかに置いて高低差を出すことで、立体感が加わり、単調にならないテーブルに仕上げています。
最後に、これは「カジュアル編」にも共通ですが、テーブルクロスの下に一枚厚手のクロスをはさむと、食器を置いた時の音が気になりません。ぜひお試しを。

▲キャンドルの明かりがあると、非日常の雰囲気がグッと盛り上がります。長いろうそくは扱いが難しいため、高さのあるホルダーに手に入りやすいティーライトキャンドルを灯して
テーブルコーディネート②~カジュアル編~
次は、日中に親族と集まるシチュエーションを想定したカジュアルコーディネート。気取らない、にぎやかなパーティーにぴったりです。

以下、コーディネートのポイントを落合さんに解説していただきました。
ご両親をお招きするシーンを想定し、和のイメージにしました。テーブルクロスは麻のオフホワイトで、ナチュラルな清潔感を目指しています。
【お皿】
藍色の7寸皿の下に、黒八角の位置皿(着席位置を示すお皿)を敷いています。光沢のある黒が全体をキリっと引き締め、きちんと感もプラス。この黒八角はプラスチック製で、位置皿として使うこともできるし、直接お料理を盛ることもできます。漆に比べて扱いがラクで、価格も手ごろ。こうしたアイテムは、ワンセット持っておいていいかもしれません。今回使ったものは、30年ほど前に購入しましたが、似たようなアイテムを「島安汎工芸製作所」というメーカーで見つけました。気になる方は、同社のサイトで「ランチョンマット・膳」のコーナーを見てみてください。
【グラス・カラトリー】
スパークリングワインで乾杯する前提で、シャンパングラスを添えました。また、メニューが和食なので、お箸です。

▲寸皿に懐紙を敷いて、器の安定感を増すとともに傷を防ぎ、高級感もプラス。明るい日中の光と黒い位置皿のコントラストが映えます
【ナプキン】
和を意識して、ちりめん素材、和の色味を選びました。日本の伝統色は「四十八茶百鼠」といって、例えばピンク一つとってもやや茶系だったり、グレーがかっていたりします。そうした繊細な色遣いを意識すると、雰囲気がまとまります。
【花】
和菓子の老舗「鈴懸」の最中が入っていた竹のかごを再利用しました。自然な感じを出したいので、秋冬は実の付いた枝、春夏はみずみずしい葉を生かした植物をあしらいます。お庭がある方は、そこから材料を調達しても良いですね。会話の糸口にもなりそうです。「フォーマル編」とは逆に、お料理を台に置いて高さをプラスし、お花は低く飾りました。

▲テーブルに直接置いた花は、上へと伸びるフォルムに生けて。かごいっぱいに盛らず、蓋を生かして余白を残したしつらえにセンスが光ります
取材ライターのつぶやき
テーブルコーディネートなんて、ちょっと敷居が高いなあと思っていましたが、大切なのはルールよりゲストを思いやる気持ち、心地よく過ごしてほしいと願うホスピタリティーなのだと感じました。食べることを心から楽しめる空間づくりは、ホストにとっても嬉しい効果がありそうです。ゲストをおもてなしする場面を思い描くことで、ダイニング周りをブラッシュアップするモチベーションはがぜんアップ。おもてなしの心で、毎日の食卓までなんだか華やぐ今日この頃です。
今回のSpecialist 落合葉子 さん

食環境プロデューサー木村ふみ氏に師事し、テーブルコーディネーションを学び、ディプロマを取得。市村美佳子氏に10年間師事し、フラワーアレンジメントを学ぶ。
料理研究家松田美智子氏に師事し、現代の家庭料理を学ぶ。
現在は自宅にて料理サロン「Coordinare」を主宰し、料理教室やテーブルコーディネートなど、経験とセンスを生かした独自のスタイルを提案している。
インスタグラムhttps://www.instagram.com/coordinare/

