【column】動線を意識した”技あり”キッチンで家事を時短

2025.07.10 | 収納・整理

片付けのプロである“美収納コンシェルジュ”園藤ふみさんのお宅にお邪魔し、「収納」のコツを伝授してもらう連載企画。
2回目となる今回は、家事動線を意識した収納で“時短家事”を実現させる「キッチン収納」について教えていただきました。

家事動線を意識する

「家事動線」とは、家事をするときの“人の動き”のこと。
例えば野菜を洗い、水切りをしたいけど、ザルがシンクから離れた場所に置いてあったり、調理中にお玉やへらを使いたいけど、コンロから離れた引き出しに収納していたり…。無意識にキッチン内をあちこち移動していること、ありませんか?
使う場所に、そこでよく使うものがあれば、時間の短縮になって家事効率がグンとアップします。

園藤さん宅のキッチン。シンクの真下にある2つの収納の上段には、ザルやボウルなどを。下段には(ざる・ボウル・鍋)を収納していました。シンクの下には基本的に水を使用する時に使うものを、すぐ使えるようにスタンバイするのが基本です。

コンロの下には火を使用する時に使うものを収納しています。
上段)キッチンペーパー類、鍋つかみ、ホイル類。
下段)フライパン、オイルポット、調味料を収納。

フライパンや調味料は倒れないよう、ファイルスタンドに入れて収納。

フライパンは重ねるより、立てた収納の方が圧倒的に取り出しやすいので、おススメです。

数を減らし、好きなものだけを置く

あれこれギチギチに詰め込んで収納すると、使いたいものが見えづらく、また取り出しにくくなります。第1回目の「衣類収納」でも触れましたが、収納するものの数をスペースの7~8割程度に減らすことが、使いやすい収納のポイントになります。

前述のザルやボウルを入れている引き出しも、かなり余裕がありました。モノで溢れていないので、誰が使っても見やすく、一目で全体が把握できます。

「数を減らすだけでも使いやすい収納になりますが、残すものを“自分のお気に入り”だけに絞ることもおススメです」と園藤さん。
例えば…そんなにお気に入りではない鍋を、たくさん手元に置いておくよりも、少し高価だけど憧れの鍋を購入してみる。きっと愛着が湧いて丁寧に使うし、料理のモチベーションも上がりそうです。

園藤さん宅のお鍋は黒の「ル・クルーゼ」。サイズ違いの2つを愛用していました。

シンク上の吊戸棚にしまっている、お気に入りのコーヒー関連グッズ。かわいい置物を置く余裕が素敵すぎます。扉を開くたびに心が和みそう。

カップアンドソーサー類も、好きなものだけを。数を絞っているので選びやすく、戻しやすさも抜群です。

よく使う「1軍」は見せる収納で

使用頻度の高いツールは、隠す収納ではなく「見せる収納」にしている園藤さん。「常に見える位置にあるものなので、デザイン性や機能性において本当に自分が気に入っているものを選んでいます」と話します。

よく使う1軍のラインナップはまな板、菜箸、おたま類、しゃもじ、小型ポット。小さな植物を置くことで、気持ちもリフレッシュします。
また、常に目に触れるため、見た目の統一感も気にしたいところ。園藤家のキッチンは白で統一されていて、清潔感も抜群でした。

家族が把握できる共通ルールを

キッチンに限らず収納全般に言えることですが、「何がどこに収納されているか」を共通ルールとして決めましょう。家族全員がモノの位置を把握していると「あれどこにある?」と尋ねられることもありません。
消耗品だと、残量が少なくなったら、気が付いた人に買い足してもらうことも可能です♪

園藤家では、薬はキッチンに収納されていました。「薬は水と一緒に飲むので、シンクの近くにあった方が便利なんです」。動線に沿った無駄のない配置です。

キッチンは料理に関係するものを…という既成概念にとらわれない発想はさすがです!

ゴミ袋など消耗品をまとめている引き出し。必見なのは、有料のゴミ袋を1つずつ小さくまとめて収納していること!(右端手前)。ゴミ捨て当日、袋から取り出すときに包装袋を不用意に破ってしまったり、2枚取り出してしまったり、残りが何枚あるのか把握しづらかったり…そうした諸問題を、見事にクリア!
手前左には、新聞紙を折って作った「生ごみ用ゴミ袋」も畳んで収納されていました。

誰が見ても何が入っているのか分かるように、ラベリングは欠かせません。
この写真は食器棚の中の一角。茶たくや蓋、湯のみ、お茶などを取っ手付きのカゴに収めています。

シンクの上にある吊戸棚です。手が届きにくいので、利用頻度の低いお菓子作り関係のアイテムやプロセッサーなどを収納していました。右下にあるのは砂糖や塩など。「もちろん料理中はコンロの近くに置いていますが、コンロ近くに置きっぱなしだと油とホコリでベタベタになってしまうので、使用後はここに収納しています」

こちらもシンク上にある吊戸棚の画像。黒いボックスには、利用頻度の低い大皿や来客用のおもてなしグッズなどが入っています。

取材ライターのつぶやき

今回は動線を意識した配置で、家事にかかる時間を短縮するための収納術を紹介しました。「いつも何かを探しながら料理をしている」「使いたいツールがすぐ取り出せない」など、心当たりのある方は、キッチン収納を見直すことで、“夢の時短家事”が実践できるかもしれません。
取材スタッフは「有料ゴミ袋」の個別収納法に衝撃を受け、家に帰ってすぐに実践!ちょっとした工夫で、小さなストレスから解放される喜びを感じています(笑)

今回のSpecialist 園藤ふみ(えんどうふみ) さん

美収納コンシェルジュとして個人宅の片付けや行政、企業への収納サービスを提供。相談者の悩みから部屋を一新するサービスの利用は、依頼やリピートだけで600件を超し、行政や企業の収納セミナー受講者数は3,500名を超えている。
各種メディア、企業イベントへの出演、寄稿依頼などの実績もあり、2015年に「男前収納でキレイになる片づけのコツ」(きずな出版)を出版。


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