【column】照明でおうちをセンスアップ!|シーン別おすすめ照明編

2025.07.17 | インテリア

あこがれの新居、もっと素敵にセンスアップしたい! そんな時に役立つのが、毎日使うことになる照明の知識です。フリーのインテリアコーディネーターとして住宅の照明・インテリアを手がける菅昌子さんに「おうちをセンスアップする照明」について聞いてきました。
第2回目は、「シーン別おすすめ照明」です!

リビングには調光機能を


シーリングライトか、ダウンライトを設置することが多いリビングルーム。
「リビングをセンスよく見せるためには、シーリングライトであってもダウンライトであっても、調光式のものを選びましょう。なぜなら、照明でセンスアップするための基本は、照明器具を複数使うことにあるからです。調光式のものであれば、全般照明(全体的な照明)の明るさを落とすことができ、ブラケットやフロアスタンド、デスクスタンド、ペンダントライトなどを灯すことで、素敵な空間を演出できます」と菅さん。
壁を照らすことで空間が広く見えたり、照明を落とすことで落ち着いたムードにできたりと、さまざまな演出ができます。

LDK全体を見渡せる間取りでは、全体的な照明の色温度が揃っていることも大切です。
「第一回でお話した温白色は、電球色と昼白色のちょうど中間のイメージ。LDK全体の色温度を揃えるときに、温白色は使いやすくておすすめです」

ダイニングには憧れの照明

「家にはたくさんの照明を設置する必要がありますが、全てに費用をかけられないこともありますよね。そんな時、私は1点豪華主義をおすすめしています。どこかに1点だけお金をかけて、デザイナーズ照明といわれるものや、憧れの照明を設置すると良いです」と菅さん。

では、お気に入りの照明はどこに設置するのがいいのでしょうか。
「ダイニングテーブル上のペンダントライトが最適だと思います。ペンダントライトは夜の食事時に点灯させるものですが、家族が集まるダイニングならスイッチをオフにした状態でも大好きなデザインを鑑賞して過ごす事ができます。電気を点けていてもいなくても、その照明の存在だけで、不思議と満足度が増しますよ」

ダイニングは部屋の隅にある間取りが多いので、テーブルの上60~80cmの位置にペンダントライトを吊るしても、邪魔になりにくいのもポイントです。

最近、LED電球と照明器具がはじめから組み合わせられた「LED一体型照明」も増えています。「リビングルームの照明と比較すると、ダイニングテーブル上のペンダントライトは点灯時間が短いので、長い年数使用することができます。例えば4万時間で寿命を迎えるLED電球を1日に3時間点灯させた場合、35年以上は持つ計算になります」

寝室の明かりは眠りやすい環境を整えて

心地よい眠りにつくために、寝室の明かりはどんなものを選べばいいのでしょうか。
「まず、寝室にダウンライトを設置する場合は、光が直接目に入らない設計がされたコーニックグレアレス型の器具を設置しましょう。ダウンライトの設計を工夫することでグレア(まぶしさ)を減らしたもので、照らす範囲は狭くなりますが、落ち着いた雰囲気を作ることができます」と菅さん。

高齢になるほど光をまぶしく感じるようになるため、ある程度の年齢になってからのリフォーム時にもグレアレスのダウンライトを設置することを勧めているそうです。

「もちろん寝室でも多灯使いは基本です。ベッドサイドのナイトテーブルにテーブルスタンドを設置したり、ナイトテーブルの上に天井からペンダント照明を下げたり、壁にブラケットを取り付けるといった方法があります。新築時に壁にブラケットを設置していなくても、最近はコンセント式のブラケット照明も多数出ています」

また、眠くなった時にすぐに照明を消せることも大切。リモコン付き照明のほか、部屋の入口だけでなくベッドサイドでも操作ができる3路スイッチにする方法もあります。

個室・書斎は個性を発揮できる場

趣味や仕事のスペースとして、寝室やリビングに書斎をつくるケースが増えています。
「個室や書斎はご自身の感性で好きな部屋をつくりやすい場所。男性ならアイアンやミドルブラウンの造り付け家具などで、落ち着く居場所を作っている方も多いのではないでしょうか。そんなお部屋には、ブラック系の照明がベーシックで合わせやすいもの。大好きなものに囲まれて過ごす場なら、アルミやスチールなど面白い素材やデザインを、天井の照明として設置することをおすすめします」

広い個室であれば、全体照明はやはり調光できるものがベスト。
「全体的な照明を落として、デスクライトを使う方が、集中できる環境を作り出す事ができます」

廊下・階段は機能性重視

廊下は、歩きやすさを考慮して、フロアスタンドなどの照明器具は設置せず、天井照明で対応することが多い場所。スマートな暮らしの鍵になるのは、移動しやすく邪魔にならない、小さなストレスを感じさせない照明です。

「廊下の端と端、寝室の出入口やリビングの出入口など、複数の場所でオンオフがコントロールできるように、3路スイッチ・4路スイッチをつけておく必要があります。人感センサーと連動式のダウンライトを設置するのも良いですが、あまり明るいと夜中にトイレに起きた時などに目が冴えてしまいます。ワット数がそれほど高くないものを選んで、2~3m間隔でダウンライトを設置するか、常夜灯をつけると良いです」
常夜灯はコンセント式のものもあるため、廊下にいくつかコンセントがある場合は、工事をしなくても、後で取り付けが可能。

また、吹き抜けの階段に照明器具を付けると、電球の交換がしづらい場合も多いとか。「長時間取り換えが不要なLED電球にするとメンテナンスが楽です」とアドバイスしてくれました。

取材ライターのつぶやき

予算をかけてお気に入りの照明を設置するなら、ダイニングテーブルの上がいいというアドバイスに深く納得しました。実はわが家では寝室にお気に入りの照明をつけたものの、あまり活用できていないのです。照明は一度設置してしまうと、なかなか変えられないもの。長く付き合っていく家だからこそ、調光できる機能や使用時間帯、スイッチの場所まで考えておくことが大切ですね。

今回のSpecialist インテリアコーディネートHYGGE(ヒュッゲ)
菅 昌子(すが しょうこ) さん

「本当に住みたい部屋 もっとあなたらしい部屋へ」をコンセプトに、フリーランスのインテリアコーディネーターとして個人邸の新築とリフォーム、模様替えを手がける。
メディア取材や専門家としての記事監修も行っている。
公益社団法人インテリア産業協会 インテリアコーディネーター
一般社団法人 日本ライティングコーディネート協会 ライティングコーディネーター


関連記事